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リレー日記

藤池昆虫記 season 2 ~白波~

投稿日時:2016/11/12(土) 21:05

 超高速リレー日記更新祭をご覧になられている方々、中国語科1年の藤池雅史です。

 海洋との決戦前日となりました。みな、日に日に練習に気合いがこもり目の色が変わって来ました。最高のプレーをするときは目の色が変わると思います。生意気ながら、我がチームが誇りに思うべきところはやはりタックルだと思います。それを裏付けるのは毎回のように四年生のみなさんが練習に取り入れて下さったBD練習だと思います。強度の高い練習でしたが、先輩方は毎回目の色を変えて臨んでいました。その勝負を楽しむ姿勢をいつも本当に見習っています。あの一回一回の「勝負」の積み重ねが必ず自信になっていると思います。明日はリザーブですが、海洋に突き刺さるタックルをたくさん見たいです。相手が何も出来ないくらいの鬼のディフェンスをして、我々のラグビーをすれば勝てます。
 
 

 福井先輩からまたまた温かい振りをいただきました。僕の良いところを申し上げるのは大変難しいですが、きっと最近ちょっとしたことで目の辺りから汗をかいてしまう僕を励ますための先輩のお心遣いだと勝手に思っています。涙腺が緩んでいると皆様仰いましたが、実は緩んでいるのは汗腺なのです。
 
 僕の良いところはやはり死を怖れないところだと思います。ここであるエピソードを紹介します。

 僕の中学の水泳の授業は特殊で、いわゆるスク水ではなくて赤いふんどしで行われます。
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 これは日露戦争で第三軍の大将として旅順要塞攻めを命じられ、五万の部下の兵を突撃で死なせながらも攻略に成功したかの有名な乃木希典将軍が第10代学習院院長に就任して以来の伝統なのです。ふんどしは馴れるまでは装着がむずかしく、1年生たちには10分という短い休み時間中にシメるのは至難の技でした。焦ってシメようとすると、隠すべきエリアを覆う部分が十分な大きさにならずはみ出てしまったり、泳いでいる最中に外れてしまい同級生に恥部を暴露するはめになったります。

 ある日の水泳の授業、賢い雅史丸は朝からふんどしを着用して登校してきていたため余裕でプールに到着。前部のシールドも十分な大きさで後部の紐も綺麗なT字を描き、食い込みも良好。今日はなんとかクロールで25メートル足を着かずに泳げそうだ!と意気込む。
 
 続々とクラスメートが股間を赤い布で抑えながら小走りで到着するなか余裕で待つ。今日の先生は学校一の鬼と恐れられていた野球部顧問の老教師。遅刻は許されない。3分前になって尿意をもよおしても余裕の表情である。なぜなら通常の下着と違い、ふんどしは紐を少し横にずらすだけで発射口を出すことが出来るのだ。悠然とトイレに入り便器に向かい合う。

 静かだ。水が硬い面に当たる音だけが響き渡る。そこに突然笛の音が!何故だ!?もう時間なのか!?焦った雅史丸がトイレを離れようとした瞬間!真っ赤なふんどしは濡れると黒く変色しやすい。最悪だ…プールサイドに復帰するとき皆はこちらを向いて整列している。そこに遅れて来た者には容赦なく全員の視線が注がれる。
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 そこで雅史丸は考えた、こそこそ下半身を両手で覆いながら走ったら転んだときにどうなる?ましてやプールサイドは濡れた床である。かといって一部が変色したふんどしを晒せば永遠に笑い者にされてしまう。迷っていては本当に遅刻してしまう!どうする雅史丸!

 

 トイレのドアを蹴破り外に出た雅史丸の顔からは迷いが消えていた。その姿を見たクラスメートたちは言葉を失った。雅史丸は何も纏っていなかった。赤いふんどしを手に握り、堂々と歩いた。鬼と恐れられた先生もその並々ならぬ覚悟を見て熱いものが頬を伝った。雅史丸は列に加わると涙を流さぬように上を向きながら言った


「35番藤池雅史、ふんどし間に合いませんでした!」


長々と申し訳ございませんでした。次は不破さんです。いつも強くて優しい不破さんが怖いものは何ですか?僕は大きめの虫と暗闇です。

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