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リレー日記

青春と青春と青春

投稿日時:2022/12/17(土) 13:23

あれは2019年の春。善人ぶった善人こと長瀬さんに入学早々つかまった私は入部を決めました。コロナ前の世の中で、一年間のおあずけをくらった私のキャンパスライフは夢と希望に満ち溢れていました。単身東京に乗り込み、何もかもが自分の思い通り、自由とはかくありと思われたのです。そんな中で選んだ選択肢がラグビー部入部。どう考えてもベストな選択肢ではないですね。花園も、スクラムも、オールブラックスも、当時の僕には耳なじみのない言葉でしたから。そんなわけも分からないスポーツのために薔薇色のキャンパスライフを血と汗と泥で塗り替えるなんて狂気の沙汰でしかありません。しかし、振り返ってみると、入部当初から楽しくなかったことなんて一度もありませんでした。ベストとは思われない選択肢をベストな選択肢へと引っ張り上げてくれたラグビー部のみなさんにはなんとお礼申し上げていいのかわかりません。

振り返れば秋元康の曲と同じくらい出てくる思い出ですが、ひとつひとつ書いていても仕方がないので、心の奥底にしまっておきます。その代わりに、今年の振り返りを。掲げた目標は4部昇格。リーグ戦は、三戦全勝。順位決定戦は不戦敗。入れ替え戦は手も足も出ずに完敗。結果として、目標には手が届かなかったわけですが、僕としては正直、そんなことどうでもいい。ただ悔しいのは、4部昇格を切望していた部員たちを勝利へ導くスーパーヒーローになれなかったことです。大好きな人たちのあんな顔見たくなかった。試合に負けた時、気づいたのは「試合の勝ち負けなんてどうでもよくて自分が納得のいくプレーができたかどうかが大切」と思っていたというのが間違いで、本当は「みんなの喜ぶ顔が見たかった」だけなんだということです。トライをとって振り返るときのみんなの笑顔。ジャッカルを決めたときのみんなの「ナイス!!」。そういうのが嬉しかったんだなと。それに気づけただけでも最後の一年、素晴らしい一年だったとそんな風に思えるのです。

人生の貴重なモラトリアムを奪っていたラグビー部ですが、それには見合わないほどの大切なものをたくさんくれた気がします。ラグビー部が僕に何かを与えてくれたように、僕もラグビー部に何かを与えなければなりません。もらってばかりというのは虫が良すぎる気もしますし、そして何よりカッコワルイ。僕はそんな思いの中で、最後の一年間は行動してきました。これが僕なりの精一杯の恩返しです。



最後に、僕はこれまで先輩方の引退日記を3度読んできたわけですが、誰もがラグビー部への感謝と後輩への言葉を残されていました。ご多分に漏れず、僕もありがたいお言葉をくれてやろうと思います。



OBのみなさん、そして勝さん

 一銭にもならない我々ラグビー部にコミットしていただけたこと心より感謝申し上げます。僕らがどんな結果を出そうとも、みなさんの人生に何の影響もないよなぁなんて考えながら、プレーしていました。それでも、何かで返したい、そう思いながら、僕にできることはただ一つ。一生懸命やることでした。



先輩方へ

 同期といるよりも長い時間を過ごした先輩方にはたくさんの失礼をぶっこきました。そんな僕を可愛がってくれたのは、僕が本当に可愛いのと先輩たちの心が広かったことに由来すると思っています。あじゃじゃした。



同期へ

 引退日記は早く更新しようね。



後輩諸賢



 困ったことがあったら何でも相談してね。





一番頼りになる先輩より



入部当初、個人主義が蔓延る世の中でその風潮に毒されていた私も、こんな日記が書けるようになるくらいにはオトナになりました。それもこれも全部ラグビー部のおかげです。



あーおもしろかった。

 

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