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リレー日記

ふさぎの虫

投稿日時:2012/01/09(月) 21:30
























TUFS courtyard nbd

  先人たちの訳業に敬意を払うにやぶさかではないのだが、「ふさぎの虫」という表現はいまではもう通じなくなっているのではないだろうか。私自身、学生時代にチェーホフのこの短編の翻訳を読んで初めて「ふさぎの虫」という日本語を知ったくらいである(つまりその頃から、普通に使われる語彙ではなかったということだ)。いや、「ふさぎの虫」とはなかなかチャーミングな日本語で、その言葉自体は大事に守っていくべきなのだとは思うのだが、チェーホフ作品の原題のニュアンスがこれではもううまく伝わらない、というのが私の判断である。
沼野充義訳『チェーホフ短編集』集英社刊p.194

 
 
  ふさぎの虫とは、憂鬱・退屈なさまであり、その原因を体のなかに「虫」が入り込んでしまったことだと考えることを表現することばである。ちなみにチェーホフのこの短編を『ふさぎの―』と最初に翻訳したのは私たちの先輩である二葉亭四迷氏である(二葉亭の訳は明治39年、二葉亭42歳のときである)。
 
オンラインの国語辞典によると、
ふさぎむし【塞ぎの虫】
気分が晴れないのを体内にいる虫のせいにしていう語。
凡例:ふさぎの虫にとりつかれる
出典:デジタル大辞典
 
 少しは受験生のためになるようなリレー日記をと考えましたが、あまり役に立たなそうですみません。
 
 
   ロシア語科二年の榎本豊です。本年もよろしくお願い致します。
   次はガッツです。成人式の感想を教えて。
 

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