大きくする 標準 小さくする

リレー日記

Fundamentals

投稿日時:2021/03/11(木) 19:18

 この度、東京外国語大学ラグビー部第92期主将を拝命いたしました大沼六旺と申します。冬の寒さも少しずつやわらぎ絶好のラグビー日和となって参りましたが、現在はコロナ禍という未曾有の事態に見舞われ、我々も活動がままならない状況であります。しかし伝統あるこの部活の火を絶やさすことなく、より一層大きなものとして次代に受け継ぐべく微力ながら全霊で務めあげさせていただく所存です。今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。



 新チームの始動にあたり、前年度の木村組に倣って我々もスローガンを設けました。去年掲げられた「変革」を継承した上でより強固にすること、そしてリーグ移行を受けて大きく変わるラグビー部、そのあり方を確立したいという思いから捻り出したのが「礎」です。当初はそれ以上の意味は考えていなかったのですが、今思うとこの言葉には色々と含みがあります。素人集団ゆえに我々が疎かにしてしまいがちな基礎にも「礎」の文字が含まれています。またこれは私見ですが、弊部の部員に散見される何故自分が人生の時間を割いて部活に所属しているのか言語化できない人にはもっと精神的な「礎」があって然るべきです。



 新入生の目に触れる可能性がある場でこのようなことを言うのは憚られるのですが、この部活を完全な体育会系と言い張るのは無理があると思います。それが弊部のいいところでもあるし、強豪校でもない以上ある程度は緩くなるものでしょう。ただアマチュアリズムにおいて肝要なのが勝利への追求と活動自体を楽しむことのバランスだとすると、去年からのラグビー部は些か不均衡が過ぎると感じてしまいます。練習に笑いがあるのはいいことだと思います。しかしミスなどをしたときに反省もせず流したり、練習の意図を把握しようともせず漫然とこなしたり、ノルマをこなさなかったりはいかがなものでしょうか。木村前主将も昨年度度々嘆いていた練習に漂う弛緩した空気は可及的速やかに是正するべきです。そのためには前述した精神的な礎を各部員が持つのが不可欠なのではないしょうか。



 この部活は私にとって大学内での居場所でもありますし、個人的に落ち込んでいた時期に支えとなってくれたので恩返しがしたいと言う気持ちもあります。ですが根底にあるモチベーションは自らの自由意志でもって参加して、少なからず労力を割いているラグビーというゲームに関わることで勝利したいという感情です。勝てない試合なんて私は全然楽しくありません。また試合の他にも勝敗というのはそこら中に転がっていると思います。練習で相手が抜けたとか抜かれたとか、スタメンを獲得したとか奪われたとか、前まで上がらなかったウェイトが上がったとか上がらなかったとかです。そういった大小様々な積み重ねが楽しくてたまりません。大人気ないですけれども、どんな小さいことでも勝つと楽しいし負けるとくさくさします。またゲームのプレイヤーとして勝利を追求するというのは最低限のマナーだとも思います。片方が勝利を諦めたゲーム程退屈なものはないです。お互いが勝利しようとするから勝利の快楽と敗北の屈辱の狭間でヒリヒリするのです。だからある程度の努力は払えますし、ラグビーのために部活外の時間を使う気にもなれます。皆さんはどうでしょうか。別に理由はなんでもいいので、部員全員が自分なりの頑張るためのモチベーションを探しましょう。



 2期前の主将である山内先輩のようにスキルとラグビーへの知見が高い水準にあれば部員の皆の内省に頼らずとも理想的なバランスの雰囲気が作れるのかもしれませんが、恥ずかしながら私はハンドリングも下手ですし、フィジカル一辺倒なのであまり説得力がない局面が多いです。怒るのも得意ではありません。現在の雰囲気は最上級生の我々の力量不足に起因するものです。そんな自分を棚上げしての発言の数々申し訳ありません。



 これから一緒に変わりましょう。まだ時間は十分にあるはずです。引退日記で最高の1年だったと書けること願っています。

 

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